残置物の撤去費用は誰が払う?民法改正による関連法律の内容・考え方を解説
  • 賃貸物件に放置された残置物の撤去費用は誰が払うべきなのか?
  • 残置物を勝手に処分すると違法になる?
  • 民法改正によって残置物の取り扱い方は変わった?

この記事ではご覧のような疑問を解消するために「残置物の所有権」「残置物の撤去費用」に関する情報をまとめました。

残置物とは家主が置いていった動産(家具・家電・現金など)のことを指します。

よく問題となるのは「賃貸物件に住んでいた方と突然連絡が取れなくなり、貸していたマンションやアパートに大量の残置物が放置されている…」「この残置物を撤去する費用は誰が払うのか?」というケースです。

また、近年では「一人暮らしの高齢者が亡くなった場合、その家に残された家財道具の処分費用は誰が負担するのか?」といったことも問題になっています。

こうした残置物と撤去費用の問題を分かりやすく解説していきますので、ぜひ最後までご覧ください。

この記事の要点
  • 残置物の撤去費用は本来「所有権を持つ方(家主)」が払うべき
  • 音信普通(夜逃げなど)や相手が亡くなっている場合は大家側の負担になってしまうことが多い
  • 民法改正により残置物の取り扱い方を賃貸契約時に決めやすくなった

残置物の撤去費用は誰が払う?いらないものは勝手に処分して良い?

まずは残置物の撤去費用に関して基本的な部分から見ていきましょう。

マンションオーナーやアパートの大家さんとしては「残置物の撤去費用は誰が払うべきものなのか?」という悩みがあると思います。

この際の考え方をまとめましたので、ぜひ参考にしてみてください。

原則として残置物の撤去費用は「所有権を持つ方」が支払うべきと考えられる

賃貸物件に残された残置物の撤去費用は原則として「所有権を持つ方」が支払うべきと考えられます。

残置物とは家主が置いていった家具・家電・洋服・食器・現金類など(=動産)を指す言葉です。

退去後または一方的に連絡が取れなくなった場合でも、所有権は「家主」にあります。

当然、家主が所有する動産の処分費用はその個人が支払うべきというのが一般的かつ法律上の考え方です。

結論から申し上げますと、Yの残置物を勝手に処分するべきではないとのアドバイスになります。なぜなら、Yの残置物を勝手に処分したことで、例えば、民事上の問題として、Yの荷物を毀損したことによる損害賠償請求を起こされる可能性や、刑事上の問題として、「他人(Y)の物を損壊」したとして器物損壊罪等に問われる可能性があるからです。

引用:勝手に処分しても良いですか??|神奈川県弁護士会

上記のように他人の所有物を勝手に捨てると後から損害賠償請求などを起こされる可能性があるため、まずは相手と連絡を取ることを優先しましょう。

しかし、退去者が残置物を無断で放置していくようなケース(または死亡してしまった場合)では相手と連絡が取れず、結局オーナーや大家側が費用を負担することも少なくありません。

こうした事態を防ぐために、2020年の民法改正に伴い「残置物の処理等に関するモデル契約条項」が策定されています。詳しくは後述してありますので、そちらを参考にしてください。

権利を放棄しない限り残置物の所有権は「前の住人」にある

残置物の所有権は「前の住人」にあるため、相手が権利を放棄しない限り勝手に処分ができません。

残置物が明らかに無価値であるとはいえないような場合には、賃借人から所有権を放棄したものであるとの意思が表示されていない限りは、残置物の所有権はいまだ賃借人にあると考えておく必要があります。

引用:賃借人が残した家財道具等の処置|公益社団法人 全日本不動産協会

明らかに無価値でゴミにしかならないものは捨てられますが、家具や家電といった価値があると判断されそうなものは無断で捨てられないということです。

賃貸物件の退去時に放置された残置物の「撤去費用」について

残置物の撤去費用は決して安いものではありません。

賃貸住宅等における残置物問題に関する検討会 報告書|国土交通省」を参考にすると、単身者が住んでいた物件の残置物撤去費用の相場は1件あたり「約40万円」とされています。

住んでいた方の所有物の量や家の広さによって金額は変わるものの、少なくとも数十万円単位のコストは掛かるということです。

マンションオーナーやアパートの大家側がこうした負担を強いられないためには、新しく改正された民法の内容や賃貸物件における「原状回復ガイドライン」を理解しておくことが重要となります。

残置物の撤去費用や所有権に関する法律|民法改正の内容と考え方

賃貸物件での残置物トラブルや原状回復トラブルを回避するため、2020年に民法のルールが改正されました。

参考:賃貸借契約に関する民法のルールが変わります|法務省HP

ここでは残置物や撤去費用に関する部分を取り上げて、その内容を紹介していきます。

民法改正によって残置物の取り扱い方が明確に

民法の改正により、賃貸物件に関連するガイドラインも新しくなりました。

民間賃貸住宅に関する相談対応事例集|賃貸借トラブルに係る相談対応研究会(国土交通省)」は改正後の民法の内容、近年の賃貸借物件の実務的内容を反映させたものとなっています。

こちらの中には残置物の取り扱い方を明確にするための指針が記載されていますので、ぜひご覧になってみてください。

モデル契約条項は、その使用が法令で義務づけられているものではありませんが、モデル契約条項を利用することにより、合理的な死後事務委任契約等が締結され、借主が亡くなった後、一定期間で賃貸借関係が残置物の処理を含めて終了することが可能となります。

引用:民間賃貸住宅に関する相談対応事例集|賃貸借トラブルに係る相談対応研究会(国土交通省)

モデル契約条項とは「仮に高齢の入居者が死亡した場合、残置物の処分をどうおこなうか」を事前に取り決めるために策定されたものです。

  1. 単身の高齢者が亡くなった場合、大家側は残置物の処分に困る
  2. こうした理由によって高齢者が賃貸物件を借りづらくなっている
  3. 大家側と物件を借りる側の不安を解消するため、事前の取り決め用に「モデル契約条項」が策定された

想定される対象は高齢者となっていますが、同契約を利用すれば残置物の所有権の問題が解決できます。

賃貸物件契約時に「残置物の所有権の所在」を確認しておくことが重要

前述の残置物の処理等に関するモデル契約条項が策定されたこともあり、今後は賃貸物件の契約時に「仮に残置物が生じた場合、その所有権を誰が持つのか?」を確認することが重要となってきます。

高齢者だけでなく、これから入居する方に対して「残置物があった場合にはその撤去費用を誰が払うのか」を明確にすることで同様のトラブルが回避しやすくなるということです。(同契約は60歳以上の単身高齢者を想定

なお、モデル契約条項では事前に「受任者(権利を委託される方)」を選定しておくことで、賃貸物件の解約や残置物撤去がスムーズにおこなわれるようになっています。

仮に入居者が死亡した場合、同契約による受任者は死亡した方に代わって物件の解約や残置物の処分ができます。残置物の所有権とその所在が明確になることで「誰が撤去費用を払うのか問題」が解消されるということです。

なお、選定できる受任者については以下を参考にしてみてください。

推定相続人の所在が明らかでない場合など推定相続人を受任者とすることが困難な場合には、相続人調査により推定相続人の所在や有無を明らかにすることまでは求めておらず、居住支援法人や管理業者などの第三者を受任者とすることを想定しております。

引用:残置物の処理等に関するモデル契約条項に係るQ&A|国土交通省HP

残置物の撤去費用は誰が払うのか?に関するよくある質問

ここからは「残置物の撤去費用は誰が払うのか?」に関するよくある質問に答えていきます。

残置物の処分費用を前の住人に請求できる?

契約外の残置物が放置されている場合は処分費用を前の住人に請求できます。

これは、原状回復の概念から考えるとゴミをそのまま放置していったとも捉えられる行為です。

当然、家主の廃棄物はその個人が捨てるべきなので請求しても問題はありません。

ただし、貸主が残置物を許容した証拠がある場合は、処分費用の請求が難しくなると考えられます。

残置物のエアコンの撤去費用は誰が払う?

前の住人が購入して置いていったエアコンは、所有権が前の住人にあります。

そのため、撤去する際の費用も前の住人が支払うべきと言えます。

しかし、連絡が取れない場合には大家側が負担するケースも少なくありません。

残置物の所有権の時効は?

残置物の所有権の時効は明確に定まっていません。

以下を参考にすると考え方によっては3年、または10年~20年になることもあります。

具体的には、不法行為責任が「加害者及び加害の事実を知った時」から3年間に限り請求可能であることからすれば3年間が、相手の返還請求権を、撤去及び保管の合意という寄託契約類似の契約に基づく債権的な合意によるものと考えれば、債権の消滅時効である10年間が、相手方の所有権をオーナー様が取得すると考えると、所有権の時効取得のための期間である20年間が、それぞれ保管期間の目安として挙げられていますが、いずれも裁判例などによって「正解」として示されているものではなく、適法と断言できる方法ではありません。

引用:元入居者が残していった荷物、処分してもいいですか?|弁護士法人ALG&Associates

残置物の撤去なら信太商店|見積もりは完全無料

マンションやアパートに放置された残置物の撤去作業は信太商店までご相談ください。

当社は産業廃棄物から一般廃棄物まで、様々な廃棄物の収集運搬を専門とする業者です。

マンションやアパートだけでなく一軒家に残されたものも丸ごと回収可能となっています。

信太商店の会社情報

事業者名信太商店
所在地東京都渋谷区富ヶ谷2-5-6(本社)
東京都渋谷区笹塚3-44-8(笹塚営業所)
設立年月日平成22年(2010年)4月23日
主な事業内容産業廃棄物収集運搬業、沈没船引き揚げ・解体処分等、一般貨物自動車運送業、リサイクル事業、樹木の伐採および木材販売事業、蜂の巣駆除および回収
取引先・一例NHK、防衛省、ヤマト運輸株式会など多数
許可・免許等【産業廃棄物収集運搬業】
・東京都許可   第1300154938号
・千葉県許可   第1200154938号
・埼玉県許可   第1100154938号
・神奈川県許可 第1400154938号
・群馬県許可   第01000154938号
・栃木県許可   第00900154938号
・茨城県許可   第008011154938号
・静岡県許可   第02201154938号
【特別管理産業廃棄物収集運搬業許可】
・東京都
・千葉県
・神奈川県指令 資循第6002号
【ほか許可・免許等】
・古物商
・一般貨物自動車運送業
・解体工事業
・移動式クレーン免許/小型移動式クレーン/2級建築施工管理技士/フォークリフト/酸素欠乏危険作業主任者など
営業時間受付時間 8:00~20:00
業務時間 24時間対応
公式URLhttps://www.shida-eco.com/

当社は関東一都六県(+静岡県)に対して廃棄物回収サービスを提供する専門業者です。

個人宅における残置物の撤去作業も承っていますので、お困りの際にはぜひご連絡ください。

また、当社は産業廃棄物の収集許可を得ているため、事業用物件(オフィス・店舗・テナントなど)の片付けも可能です。

信太商店の作業事例と問い合わせ先

ここでは当社が過去におこなった残置物撤去作業の一例をご紹介しています。

大型店舗に放置された廃棄物の回収も受け付けていますので、テナントオーナー様はお気軽に料金や作業内容をお問い合わせください。

なお、当社の問い合わせ先は以下の通りとなっています。

電話番号フリーダイヤル:0120-937-277
笹塚営業所:03-6381-6141
問い合わせフォームhttps://www.shida-eco.com/contact
メールアドレスshida@shida-eco.com

残置物の撤去費用は所有権を持つ方が払うべき|処分依頼は信太商店まで

マンションやアパートに残された残置物の撤去費用は本来「所有権」を持つ方(放置した家主)が払うべきと言えますが、様々な事情によって大家側が負担するケースも少なくありません。

2020年の民法改正によって残置物の処理責任の所在が決めやすくなったものの、まだまだ同様の事例は多く見られます。

そんな残置物の撤去・処分にお困りの際は、ぜひ信太商店までご連絡ください。

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