PCBとは?人体への影響と各機械の処分方法【簡単に説明】
  • PCBとは?どんなものを指す?
  • PCBの毒性はどれくらい?
  • PCB廃棄物はどうやって処分すれば良い?

PCB(ポリ塩化ビフェニル)は化学的に作られた物質の一種であり、その安定的な性質(絶縁性・耐熱性・耐酸性・耐アルカリ性など)から様々な用途に活用されていました。

しかし、1968年にPCBを原因とする大規模食中毒事件が発生したことで重大な有害性が判明し、その後1972年には日本での生産や海外からの輸入が全面的に禁止となっています。

1972年(昭和47年)までに製造された一部の電気機器にはPCBが使われている可能性があります。PCBに汚染された機器やその他の廃棄物は「特別管理産業廃棄物」のうち「特定有害産業廃棄物」に指定されているため、法令に従う形で処分しなければなりません。

PCB廃棄物は、使われているPCBの量と濃度によって「高濃度PCB廃棄物」「低濃度PCB廃棄物」の2つに分けられます。

どちらにも「適切な方法で自主的に処分する義務」「処分までの期限」が設けられているため、PCB使用の可能性がある製品を持っている方は速やかに調査と処分を実施しなければなりません。

※高濃度PCB廃棄物の処分期限はすでに過ぎていますが、万が一該当する製品を発見した場合には各自治体への報告・連絡が求められています。(低濃度PCB廃棄物の期限は2027年3月31日まで)

この記事ではPCBとは何か?どういったものに使われているのか?どうやって処分すれば良いのか?といった疑問を解消するために、できるだけ分かりやすくPCBに関する情報を説明しています。

「もしかしたらこの機械にはPCBが使われているかも…」「すぐに回収してもらいたい…」と不安に感じる方は、ぜひこちらの内容を最後までご覧ください。

PCBとは?危険性がある物質?【できるだけ簡単に説明】

ここではPCBの基礎知識と毒性について解説していきます。

PCB廃棄物を保有している可能性がある方はぜひ参考にしてください。

PCB(ポリ塩化ビフェニル)は一部電気機器に使用されている化学物質

PCBは「ポリ塩化ビフェニル」の略称であり、粘性のある油状の物質となります。

自然界には存在しない物質で、化学的な合成によって作られる「有機塩素化合物」です。

PCBの基礎知識
  • 人為的に製造できる物質
  • 電気に対する絶縁性が高く、耐熱性・耐酸性・耐アルカリ性にも優れている(=化学的に安定した性質)
  • 主に高圧変圧器・高圧コンデンサー・蛍光灯等の安定器として使用されていた
  • その他にも工業機械の加熱・冷却用の熱媒体、潤滑油、塗料などに用いられている
  • 昭和中期まで製造されていたが、危険性が発覚したため1972年に製造禁止となっている
  • 日本では期限を設けてPCB使用の機械・製品の回収に努めている

ものすごく簡単に言えば「様々な機械を動かすためにとても便利な物質だった」「しかし、PCBは人体に有害なことが分かったので製造・使用を禁止することになった」という流れです。

PCBは分解されにくい物質なので、基準を設けずに廃棄(または不法投棄)すると川・海を通じて他国へまで渡ってしまいます。

こうした危険性を持つため、日本だけでなく海外の国でも厳格な基準を設けてPCBの早期処理に努めているということです。

PCBによる人体への影響と毒性

以下ではPCBが人体へ与える影響と毒性について簡単にまとめました。

PCBの毒性
  • PCBは脂肪に溶けやすく、体内に蓄積されやすい物質
  • PCBを含む食材を長期的に摂取すると健康被害に繋がる恐れが高い
  • 主な症状は皮膚の色素沈着・塩素ニキビ・爪の変形・目ヤニ・倦怠感やしびれ・食欲不振など
  • PCBが海に流出するとクジラ・イルカ・アザラシといった海洋哺乳類の体内にも蓄積される
  • 生態系への悪影響・生態系の破壊といった点も懸念される

PCBが有害であることが分かったのは、1968年(昭和43年)に大規模な食中毒事件が発生したためです。

簡単にまとめると食品製造会社の倉庫でPCB含有の機械が使われていて、その機械の不具合により内部からPCBが漏れ出て「食品自体にPCBが混入してしまった」という内容になります。

この事件をきっかけにして、日本では1972年(昭和47年)にPCBの使用・製造が禁止になりました。

しかし、1972年までに製造されたPCB含有製品はその後も工場などで使われている可能性があります。

また、PCB特措法制定の翌年にあたる2002年の国内調査では1972年以降に製造された一部機械にも低濃度のPCBが含まれている可能性があるとして、各メーカーにPCB汚染の確認を求めることとなりました。

  • 1972年までに製造された特定の機械・製品には高濃度のPCBが使われている
  • 年代問わず、一部の電気機器には低濃度のPCBが含まれる可能性がある
  • 2001年制定のPCB特措法により、PCB廃棄物は期限内に処分することが義務付けられている

中にはPCBが含まれていることを知らずに該当機械を使っているケースもありますが、心配な場合には「ポリ塩化ビフェニル(PCB)使用製品及びPCB廃棄物の期限内処理に向けて|環境省」に記載されている製品例をご覧になってみてください。

PCBの含有量による廃棄物の区分と処分期限

PCB廃棄物は含有量によって区分や処分期限が変わります。

以下の表ではそれぞれの違いを分かりやすくまとめましたので、ぜひ参考にしてみてください。

項目高濃度PCB廃棄物低濃度PCB廃棄物低濃度以下
該当例廃PCB原液やPCBを含む廃油PCBが付着または封入されているプラスチック類、金属くず、木くずなどPCB含有の液体(絶縁油)が封入されている一部機器
PCB濃度5,000mg/kg超0.5超~5,000mg/kg
(※)
0.5mg/kg以下
(機器に封入状態)
製造時期1972年(昭和47年)まで年代問わず年代問わず
区分特別管理産業廃棄物特別管理産業廃棄物産業廃棄物
処分の期限2023年(令和5年)2027年(令和9年)
※可燃性PCB汚染物の場合は100,000mg/kg以下

基本的にPCB廃棄物は「高濃度PCB廃棄物」と「低濃度PCB廃棄物」の2つに分けられます。

低濃度PCB廃棄物よりも濃度が低いものはPCB廃棄物ではなく、一般的な産業廃棄物として処分が可能です。(そのため、厳密にはPCB廃棄物ではない)

上記の表で覚えておきたいのは「PCB廃棄物の処分期限」についてです。

  • PCB廃棄物には処分期限がある(PCB特措法)
  • 所有者(事業者または個人)は自主的に製品のチェックと適切な処分をしなければならない
  • PCB特措法に違反すると罰則を受ける恐れがある
  • 高濃度PCB廃棄物はすでに全ての製品回収が終了している(ただし、回収の洩れがある可能性は否定できない)
  • 仮に高濃度PCB廃棄物を所有している場合は速やかに各自治体へ連絡する
  • 低濃度PCB廃棄物の処分期限は2027年3月31日まで

PCB廃棄物の適切な処分は法律で義務付けられていることです。

処分方法と処分期限を守れば罰則を受けるような事態になりませんが、法律に違反した場合には罰則を受ける可能性が出てきます。

新たに発見された高濃度 PCB 廃棄物の処分委託が実施されていない状況は法令違反になります。万一、新たに高濃度 PCB 廃棄物等が発見された場合は、直ちに自治体及び地域の地方環境事務所に連絡してください。なお、PCB 廃棄物の保管状況等の届出を行わなかった場合や自治体の行政指導に従わなかった場合等には、PCB 特措法第 31 条、32 条、33 条に基づき、罰則を科す場合があります。

引用:PCB廃棄物の処理(PCB 特別措置法)について|経済産業省HP

低濃度 PCB 廃棄物の処分期間は令和9年3月末までです。処分期間を過ぎて低濃度 PCB 廃棄物を保管している事業者は、届け出を行わなかった場合や自治体の行政指導に従わなかった場合等に、PCB 特措法第 31 条、32 条、33 条に基づき、罰則を科す場合があります 。

引用:PCB廃棄物の処理(PCB 特別措置法)について|経済産業省HP

仮に「所有している機械や製品にPCBが使われているかもしれない」といった場合は、各自治体から特別管理産業廃棄物の回収許可を得ている専門業者に相談して処分を委託しましょう。

PCBに関してよくある疑問や質問

ここからはPCB廃棄物やその処分方法に関してよくある疑問や質問に回答していきます。

PCBが使われている主な電気機械は?

過去にPCBが使われていた主な電気機械は「高圧変圧器」「高圧コンデンサー」「蛍光灯等の安定器」です。

その他のものでは以下のような機器や製品にもPCBが使用されていました。

PCBを含む電気機器には,低圧変圧器,低圧コンデンサー,その他機器(リアクトル,サージアブソーバー,計器用変成器等)等があります。これらも届出対象となっています。

引用:2.PCBは何に使われていたのでしょうか?|鹿児島県HP

なお、製造年が古いレントゲンにはPCBが使われているものもあります。

PCBの毒性は空気感染する?

PCBを燃やすとダイオキシンが発生し、同様の健康被害に繋がってしまいます。また、油状のPCBが飛散した場合に、そのPCBを吸い込むことで体内に摂りこまれてしまうため注意が必要です。

なお、PCBを無害化するには高温での焼却、化学的な分解方法が用いられます。

参考:PCBは処理できないのですか?|埼玉県HP

PCBが体内に入る経路としては、「PCBを含む電気機器・その他製品が不法投棄される」⇒「土壌にPCBが流出する」⇒「周辺の作物がPCBに汚染される(作物の摂取)」⇒「さらに土から川へとPCBが移る」⇒「海の生物たちが汚染される(魚等の摂取)」といった流れが考えられます。

PCBにはどの程度の発がん性がある?

PCBの発がん性がどれほど強いのかは明らかになっていませんが、発がん性があることは判明しています。

コプラナーPCBは毒性が強く,またマウスやラットの肝臓に対して発癌性を示す。コプラナーPCBには遺伝子に対する変異原性が認められず,発癌性は癌化を促進する作用によると考えられているが,その機構は充分には明らかになっていない。

引用:PCBの発癌性と遺伝子発現|国立研究開発法人 国立環境研究所HP

PCB廃棄物はすべて特別管理産業廃棄物に該当する?

PCB廃棄物は濃度に関わらずすべて特別管理産業廃棄物に該当します。

また、PCB廃棄物はその中でも「特定有害産業廃棄物」に分けられるため、健康を害する可能性が高いものとして扱われています。

※特別管理産業廃棄物は「特別管理産業廃棄物収集運搬許可」を得ている業者でないと処分を委託できません。(ただの産廃回収業者では運搬できない)

PCBの処分方法は?

万が一、所有している機械や製品がPCB廃棄物だった場合は、各都道府県から特別管理産業廃棄物の取り扱いを許可された業者に処分を委託しましょう。

大まかには「製品の調査(PCBのチェック)」⇒「処分の委託(契約を締結)」⇒「製品の回収」⇒「最終処分場または中間処理施設へ運搬」⇒「マニフェスト(産廃管理票)の対応をおこない作業完了」といった流れになります。

PCBの処理や回収なら信太商店がおすすめ

PCB廃棄物の処理にお困りの方には信太商店の利用をおすすめしています。当社は特別管理産業廃棄物の取り扱い許可を得ている専門業者です。

低濃度PCB廃棄物の処分期限が迫っていることもありますので、該当する事業者・個人の方はぜひお早めにご相談ください。

信太商店|会社概要

事業者名信太商店
所在地東京都渋谷区富ヶ谷2-5-6(本社)
東京都渋谷区笹塚3-44-8(笹塚営業所)
設立年月日平成22年(2010年)4月23日
主な事業内容産業廃棄物収集運搬業、沈没船引き揚げ・解体処分等、一般貨物自動車運送業、リサイクル事業、樹木の伐採および木材販売事業、蜂の巣駆除および回収
取引先・一例NHK、防衛省、ヤマト運輸株式会社など多数
許可・免許等【産業廃棄物収集運搬業】
・東京都許可   第1300154938号
・千葉県許可   第1200154938号
・埼玉県許可   第1100154938号
・神奈川県許可 第1400154938号
・群馬県許可   第01000154938号
・栃木県許可   第00900154938号
・茨城県許可   第008011154938号
・静岡県許可   第02201154938号
【特別管理産業廃棄物収集運搬業許可】
・東京都
・千葉県
・神奈川県指令 資循第6002号
【ほか許可・免許等】
・古物商
・一般貨物自動車運送業
・解体工事業
・移動式クレーン免許/小型移動式クレーン/2級建築施工管理技士/フォークリフト/酸素欠乏危険作業主任者など
営業時間受付時間 8:00~20:00
業務時間 24時間対応
公式URLhttps://www.shida-eco.com/

当社は一般的に回収が難しいとされる廃棄物の扱いに長けた各種廃棄物収集運搬業者です。

東京都・神奈川県・千葉県から特別管理産業廃棄物の収集運搬許可を得ており、PCB廃棄物の回収にも対応しています。

その他、関東全域における産業廃棄物収集運搬許可を取得していますので、対象エリア内であればPCB濃度が基準値を下回る通常の産廃物の回収も可能です。

工場の閉鎖や各種事業所の移転などに伴い、産業廃棄物をまとめて処分したい場合は信太商店にご依頼ください。

信太商店|お問い合わせ先

当社への問い合わせ先は以下の通りとなっています。

電話番号フリーダイヤル:0120-937-277
笹塚営業所:03-6381-6141
問い合わせフォームhttps://www.shida-eco.com/contact
メールアドレスshida@shida-eco.com

廃棄物回収に伴うお見積りはすべて無料となっています。現地での確認や調査が必要な場合でも費用はいっさい掛かりません。

「実際にどれくらいの費用が掛かるのか知りたい」といったお問い合わせにも対応していますので、まずはお気軽にご連絡ください。

まとめ

「PCBとは何か?」「PCB廃棄物の処分期限とは?」などの疑問を解消するために、PCBに関連する様々な情報を紹介してきました。

PCB(ポリ塩化ビフェニル)が含まれる廃棄物は人体に悪影響を与える恐れがあるため、法律によって処分方法や処分期限が決められています。

現在のところ適切な処分が求められているのは「低濃度PCB廃棄物」となりますが、その処分期限は2027年3月31日までです。

期限を過ぎるとPCB特措法違反によって罰則を受ける可能性がありますので、時期に余裕をもった上で処分しましょう。

なお、東京都・神奈川県・千葉県であれば、信太商店のスタッフがすぐに駆け付けてPCB廃棄物の回収をおこないます。回収業者をお探しの方は、ぜひ当社までお問い合わせください。

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